遺留分侵害額請求
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遺留分についてどのような専門家に相談すべきか
1 遺留分に関する紛争について相談すべき専門家
たとえば、ある人が亡くなり、遺言によって特定の相続人にのみ全財産を残していたとします。
まったくもらえなかった相続人であっても、一部の相続人には遺留分があります。
そこで、相続人や遺留分割合、遺産を確認したうえで、遺留分侵害額請求を行うことになります。
そのような場合、相談すべき専門家としては、まず弁護士が挙げられます。
弁護士は、相続人や遺産の調査はもちろん、具体的な遺留分侵害額の計算をし、その後に起こる法的紛争全般について見通しを持ちながら対応していくことができます。
そもそも、遺言書によりすべてをもらっている相続人が、遺留分侵害額請求を受けて快く支払ってくれるとは限りません。
そのため、相続人間で紛争になってしまうことが多いのです。
できるだけ早い段階で弁護士に相談をするのがよいでしょう。
遺留分侵害額請求は、一般的には内容証明郵便を出すところから始まり、相手方との交渉、次いで調停、さらには訴訟、強制執行などによって、最終的な金銭獲得に至ることになります。
これは、相手方の対応によって進行が異なり、交渉段階で解決することもありまずが、むしろ最終段階まで見据えるからこそ、合理的な交渉が可能になるともいえます。
これに対し、弁護士以外の専門家は、相続人間の法的紛争については、基本的には対応することができません。
2 相続税が発生する場合について
遺留分侵害額を受け取ったことにより、相続税が発生したり、税額が変更したりする場合には、税理士にも相談すべきです。
そもそも遺産額が基礎控除を下回っていて相続税が発生しない場合には問題になりませんが、相続税が発生するかどうか判断できないような場合や、いくら納めるべきかわからない場合などは、相談するとよいでしょう。
一般的に、相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行いますが、遺言で何ももらっていない相続人については、遺留分侵害額請求を行って、遺留分侵害額が確定してから相続税の申告や納付を行うこととなります。
時期や進め方などについては、やはり早めに税理士に相談するとよいでしょう。
遺留分とは
1 遺留分とは何なのか
「遺留分」と聞いても、日常ではあまり使われることがない言葉ですが、相続の場面では頻繁に使われる言葉です。
そのため、相続に関することを調べると、必然的に「遺留分」という言葉を目にする機会も多くなるかと思います。
しかし、遺留分の正確な意味や内容を理解している人は、あまり多くありません。
遺留分は、一言で言うと、一定の相続人に最低限認められた権利を指します。
もっとも、このような言葉だけでは、遺留分のイメージがつかめない方が多いかと思います。
そこで、以下では遺留分について詳しくご説明します。
2 全ての相続人が遺留分の権利を持っているわけではない
まず、遺留分の権利を持つのは、「一定の相続人」だけです。
日本の法律で相続人になることができるのは、①子や孫などの直系の子孫、②親や祖父母など直系の祖先、③兄弟姉妹・甥姪、④配偶者です。
このうち、③の兄弟姉妹・甥姪は遺留分の権利を持っていません。
そのため、相続人が兄弟姉妹・甥姪しかいないケースで、亡くなった方が特定の人に全財産を相続させる遺言書を残していた場合、兄弟姉妹・甥姪は、遺留分を請求することができません。
3 最低限の権利として認められる遺留分はどのくらいなのか
では、最低限の権利として認められる遺留分は、一体どのくらいなのでしょうか。
遺留分は、「本来ならもらえるはずの権利の半分」について、請求できると言われることがあります。
大まかなイメージとしては間違っていませんが、誰が相続人かによって遺留分の割合が異なるため、これは不正確な表現と言えるでしょう。
どのパターンだと、どのような遺留分割合になるのかは、専門家に相談することをおすすめします。
4 遺留分はお金を請求する権利
遺留分は遺産に関する権利ではあっても、遺産そのものを渡すように要求できる権利ではありません。
遺産そのものではなく、遺留分に相当するお金を請求することができる権利になります。
そのため、例えば、長男が実家を相続した際に、「実家の権利の一部を渡せ」という要求は原則としてできないことになります。
5 遺留分は期限に注意
遺留分が請求できる期間には限りがあります。
遺留分侵害額請求の時効について詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
期限を過ぎると、遺留分を請求することができなくなってしまうため、遺留分の請求を検討している方はもちろん、一部の相続人に遺産が偏っていて、遺留分が侵害されているのではないかと感じている方は、専門家に相談し、早めに行動に移すことをおすすめします。
6 遺留分でお悩みの方はご相談ください
私たちにご相談いただければ、遺留分をはじめ、相続案件を得意とする専門家が承りますので、まず一度ご連絡ください。
遺留分について詳しく知りたい方、そもそも自分は遺留分が請求できるのかよくわからないという方でも、お気軽にご相談いただければと思います。
遺留分の計算方法
1 遺留分の概算の計算方法
遺留分の計算方法を間違えてしまうと、遺留分を請求する側としては、本来もらえる遺留分相当額すら貰えなくなったり、反対に、遺留分を請求される側としては、支払う必要がある額を超えて、遺留分を支払うことになったりする場合があります。
そのため、遺留分の計算方法を正確に把握しておく必要があります。
まず、遺留分の概算的な計算方法としては、法定続相続分の2分の1(相続人が両親または祖父母のみである場合は法定相続分の3分の1)として遺留分の概算額を計算することができます。
たとえば、遺産総額が3000万円で、相続人が長男、長女の2人の場合、長男と長女の法定相続分は2分の1の1500万円であるため、長男、長女の遺留分は、その2分の1の750万円となります。
また、遺産総額が3000万円で、相続人が母のみの場合、母の法定相続分は1分の1の3000万円であるため、母の遺留分は、その3分の1の1000万円となります。
2 遺留分の具体的な計算方法
このように、遺留分の概算については、本来の法定相続分の2分の1または3分の1として計算することができます。
もっとも、これはあくまで概算となり、具体的な遺留分額を計算する際には、以下のような複雑な計算方法となります。
遺留分請求額=
遺留分算定の基礎となる財産額{相続開始時おいて被相続人の積極財産(遺贈財産を含む)の額
+相続人に対する生前贈与の額(原則10年以内)
+第三者に対する生前贈与の額(原則1年以内)
-被相続人の債務の額}
×相対的遺留分割合
×法定相続分の割合
-遺留分権利者が受けた特別受益の額
-遺産分割の対象財産がある場合において遺留分権利者の具体的相続分に相当する額
+遺留分権利者が負担する債務(遺留分権利者承継債務)
このように、遺留分請求額の計算方法は極めて複雑であり、専門家でも間違えてしまうこともあります。
3 遺留分の計算上の注意点
遺留分を請求できるのは、相続人が兄弟姉妹、甥姪以外である場合です。
そのため、相続人が兄弟姉妹、甥姪の場合は、遺留分を請求することはできません。
また、遺留分の計算上、遺産(遺留分算定の基礎となる財産額)には、原則、生命保険金は含まれません。
そのため、遺産総額と比べて生命保険金が極めて高額であるなどの特殊な事情がない限り、生命保険金は含めずに計算することになります。
さらに、遺留分を請求する側は、過去に被相続人から生前贈与を受け取っている場合、10年より前の贈与であっても、遺留分を減額する要素として考慮されることがあります。
このように、遺留分の計算するうえでは、注意すべき点が多数存在し、また、遺留分の計算方法自体、極めて複雑です。
そのため、遺留分の計算を詳細に行う際には、相続に詳しい専門家に一度、ご相談されることをおすすめします。
遺留分が認められている人・認められていない人
1 配偶者について
被相続人の配偶者は、常に相続人となり、遺留分が認められています。
2 子について
被相続人の子は、第一順位の相続人となり、遺留分が認められています。
胎児は、生きて生まれれば、子としての遺留分が認められます。
3 孫について
被相続人の孫は、相続人である子が死亡・相続欠格事由該当・廃除のいずれかによって相続権を失った場合にのみ、代襲相続人となり、遺留分権利者となります。
その場合、被代襲者である子が有していた割合を、孫の頭数に応じて按分した割合となります。
これに対し、相続放棄をした場合には代襲相続は発生しません。
たとえば祖父の相続について父が相続放棄した場合、その子について代襲相続は発生しないため、遺留分は認められません。
4 直系尊属(父母、祖父母等)について
被相続人の父母は、被相続人に子がいない場合にのみ相続人となり、その場合には遺留分が認められます。
被相続人の祖父母は、被相続人に子がいない場合で、被相続人の父母が両方とも死亡・相続欠格事由該当・廃除のいずれかである場合には、遺留分が認められます。
5 兄弟姉妹について
遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人について認められる権利とされているため(民法1042条1項)、被相続人の兄弟姉妹には遺留分は認められません。
そのため、遺言書がない場合、被相続人の兄弟姉妹は、相続人として遺産分割を行うことができますが、例えば遺言書が作成されて、特定の相続人に遺産の大半が渡るような内容となっている場合でも、被相続人の兄弟姉妹には遺留分が認められないということになります。
また、被相続人の兄弟姉妹を代襲相続した「被相続人の甥・姪」(被相続人の兄弟姉妹の子)にも遺留分が認められません。
6 遺留分権利者の包括承継者について
遺留分権利者の包括承継者(相続人、包括受遺者など)は、贈与又は遺贈を受けた人に対し、遺留分侵害額を請求することができます。
7 遺留分権利者の特定承継人について
遺留分権利者から個別的な遺留分侵害額請求権を譲り受けた特定承継人も、贈与又は遺贈を受けた人に対し、遺留分侵害額を請求することができます。