不動産の相続の手続き
1 不動産の相続の手続きについて
不動産は、誰が所有者か分からないと、安心して取引を行うことができません。
そこで、不動産の所有者が誰なのかという情報は、国が管理しています。
亡くなった方は、不動産の所有者ではなくなるため、国に対して、所有者が亡くなったことや、不動産の所有者が変わったことを申告しなければなりません。
2 不動産の相続の手続きをしない場合のデメリット
不動産の相続の手続きは、法律の改正により、令和6年4月1日から義務化されます。
この義務に違反すれば、10万円以下の過料の対象になってしまいます。
10万円以下の過料という言葉から、「それは大きな不利益だ」と考える方もいれば、「それで済むなら、別に構わない」と考えた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、不動産の相続手続を行わないと、様々なデメリットが発生します。
まず、相続の手続きをしないと、不動産を売却したり、誰かに貸したりということができませんし、長期間不動産の相続手続きをしないままでいると、次の世代の相続が発生してしまうことがあります。
例えば、父が亡くなり、長男と二男が相続人だったとします。
その長男と二男に、子が3人ずついる場合、次の世代は最低でも6人の相続人がいることになります。
さらに、その次の世代に3人ずつ子がいると、最低でも18人相続人がいることになります。
このように、不動産の相続の手続きを放置していると、どんどん相続人の数が増えてしまい、相続手続きが困難になります。
3 不動産の相続手続きの方法
⑴ 不動産の調査
亡くなった方が、どんな不動産を所有していたかを調査します。
特に、亡くなった方の上の世代の方が所有していた不動産で、まだ相続の手続きをしていない不動産が存在するケースもあるため、注意が必要です。
具体的には、市区町村役場で、不動産の一覧表を入手します。
ただし、あくまで、「その市区町村にある不動産の一覧表」なので、亡くなった方が、他の市区町村に不動産を持っている可能性がある場合は、そちらにも不動産の一覧表を請求しなければなりません。
⑵ 不動産の所有者の決定
相続人で話し合って、誰が不動産を相続するのかを決めます。
もし、相続人間で揉めてしまった場合は、裁判所で不動産の分け方を決めることもあります。
ただし、遺言書で不動産の所有者が指定されている場合は、話し合いをする必要はありません。
⑶ 遺産分割協議書の作成
誰が不動産を相続するのかについて、合意書を作成します。
誰かの単独名義にする場合や、相続人同士で共有名義にする場合など、様々なバリエーションがあります。
⑷ 法務局へ申請
不動産の相続の手続きは、法務局で行います(参考リンク:大阪法務局・法務局・管轄のご案内・大阪法務局 不動産登記/商業・法人登記の管轄区域一覧)。
戸籍謄本や、遺産分割協議書などの必要書類を法務局に提出します。
どのような種類の書類が必要かは、相続人が誰かによって変わってきます。
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