遺産分割協議
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遺産分割の際に気を付けること
1 生前に払い戻された預金に注意
遺産分割は、遺産の分け方を話し合う手続きです。
ここで言う遺産とは、基本的に現存している遺産のみを指します。
では、例えば長男がお父さんの通帳から勝手にお金を100万円払い戻していて、お父さんが亡くなった場合はどうなのでしょうか。
お父さんが亡くなった時点では、長男が払い戻した100万円は既に存在しません。
そのため、この100万円は原則として遺産分割の対象外であり、もし長男に100万円の責任追及をする場合は、遺産分割とは別に請求や裁判をすることになります。
もちろん、話し合いの中でこの100万円についても言及することは可能ですが、長男が話し合いに応じなかった場合は、遺産分割とは別の手続きが必要ということになります。
2 財産調査の漏れに注意
遺産分割をするためには、まずどんな遺産があるのかをはっきりさせる必要があります。
財産の内容が分からなければ、そもそも遺産の分け方を議論することさえできません。
そこで、まずは遺産の調査を十分に行う必要があります。
まず不動産の有無は、市区町村役場で名寄帳や固定資産税台帳を調査することで調べることが可能です。
また、預金は通帳、キャッシュカードなどを手掛かりに調査をします。
最近では、スマホのアプリで預金の管理をしているケースもあるので、調査方法には注意が必要です。
3 相続人の漏れに注意
相続人が誰かという点は、多くの人にとっては「調査するまでもなく分かっている」ことだと思います。
しかし、法的に相続人の人数を確定させるためには、戸籍謄本による調査が必須です。
例えばお父さんが亡くなり、お父さんの戸籍を遡ってみたところ、実は再婚で前妻との間に子どもがいたり、認知した婚外子がいたりするケースは少なからず存在します。
仮に相続人が1人でも欠けてしまうと、遺産分割の合意書を作成しても、遺産分割は無効になります。
そのため、遺産分割を始める前には、戸籍による相続人の確定が必要となります。
遺産分割がまとまらないとどうなるのか
1 遺産分割がまとまらない状態とは
遺産分割がまとまらない状態とは、相続人全員の同意が得られないような状態のことを指します。
遺産分割をするためには、相続人全員の同意が必要です。
なぜなら、相続が起きた時点で、遺産は相続人全員の共有物になるためです。
一部の相続人だけの判断で共有物を売却することができてしまうと早い者勝ちになってしまうため、それを防ぐために、相続人全員の同意を必要とします。
2 遺産分割がまとまらない場合の不利益
遺産分割がまとまらないと、相続手続きを行うことができません。
では、相続手続きができないと、どのような不都合が発生するのでしょうか。
例えば、不動産の名義変更ができなければ、その不動産を売却することができません。
また、預貯金の払戻しも、一定の金額までしかできないという状態になります。
そのため、遺産分割がまとまらずに、遺産の管理費用や相続税の納付金が不足した場合、相続人が自分たちの預貯金から支払わなければならないことになります。
3 遺産分割を放置すると話し合いがより困難になる可能性も
例えば、お父さんが亡くなり、相続人として長女、二女、三女がいるとします。
相続人らは仲が悪く、遺産の分け方について意見が合いませんでした。
その結果、遺産の分け方が決まらないまま長期間が経過し、長女、二女、三女の全員が亡くなってしまった場合、どうなるのでしょうか。
その場合、長女、二女、三女の相続人が話し合いをして、遺産の分け方を決めることになります。
つまり、孫世代に問題を先送りすることになります。
そして、相続人の数が増えると、話し合いがより困難になってしまいます。
このように、遺産分割がまとまらない状態を長期間放置すると、遺産分割がより大変になってしまう可能性があるため注意が必要です。
4 相続開始から10年後経った後は
令和5年4月1日より、相続開始から10年が経った後の遺産分割については、原則、法定相続分または遺言によって定められた相続分によって行うというルールが導入されました。
つまり、被相続人が亡くなってから10年経つと、特別受益や寄与分を主張したくてもできなくなります。
そのため、特別受益や寄与分などを考慮した具体的相続分によって遺産の分割を行いたいと考えている場合は、10年以内に話し合いをまとめることを推奨します。
遺産分割において揉めやすいケースとその対処法
1 相続人同士が疎遠であるようなケース
相続において、相続人同士が疎遠であるようなケースでは、話し合いで感情的になり揉めてしまうことがあります。
たとえば、相続人が前妻の子と後妻である場合、知らない兄弟がいたような場合、相続人が配偶者と被相続人の兄弟である場合などです。
このような場合、弁護士に依頼して交渉するか、遺産分割調停で第三者を交えて話し合いを進めるなどで対処することが多いでしょう。
2 同居人が被相続人の世話をしていたケース
たとえば、父が亡くなり、長女と次女が相続したとします。
長女が父と同居して介護を行っていたのに対し、次女は長年にわたり音信不通でまったく何もしていなかったようなケースでは、長女が次女との間で等分に財産を分けることは不公平であると感じ、不満を抱くことも少なくありません。
他方、次女からみても長女が父から生活費を出してもらっていたなどと不公平に感じることがあります。
このような主張は、遺産分割協議や調停において、寄与分や特別受益といった主張をすることで、調整することになります。
3 不動産が相続財産の大半を占めるケース
たとえば、相続財産としては不動産のみで、現金や預貯金はほとんどないようなケースでは、遺産分割がしにくいため、対処が困難となりがちです。
その不動産が空き家であれば、不動産を売却して代金を分けることができますが、相続人の一部が居住していた場合には、住む場所がなくなってしまうので、売却をすることもできず、揉めやすいといえます。
このようなことがないように、遺言で不動産の取得者を定めたうえで、遺留分にも配慮しておくことが望ましいでしょう。
そのような事前の対処ができない場合には、一部の相続人が不動産を取得したうえで、他の相続人に対する代償金を支払うこともあります。
4 不動産の評価に差があるケース
相続財産に不動産があり、その不動産の評価に幅がある場合は、揉めやすくなります。
そのような場合、双方とも査定書を取り付けたうえで、金額で歩み寄れないか交渉することになります。
それでもまとまらない場合は、調停で不動産鑑定を行い、評価について合意を行って対処します。