相続放棄
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相続放棄した方がよい場合
1 債務が多い場合
例えば、お父さんが300万円の預貯金を残して亡くなった場合を考えてみましょう。
相続人としてお母さんと長男がいる場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子供が(子供全員あわせて)2分の1です。
参考リンク:国税庁・相続人の範囲と法定相続分
この場合、法律どおりの割合でそのまま相続すれば、お母さんと長男が、300万円の2分の1である150万円をそれぞれ相続することになります。
一方で、お父さんが500万円の債務を残していた場合は、お母さんと長男が、それぞれ250万ずつの債務を背負うことになります。
このように、プラスの財産よりマイナスの財産のほうが多いようなケースでは、相続放棄をした方がよいということになります。
2 不要な財産がある場合
例えば、お父さんが亡くなり、遺産として広大な山林が残されたという場合について考えます。
この場合、他に目ぼしい財産は無いものの、債務も無いという状況であれば、相続放棄すべきでしょうか。
もし、相続人の中に、山林が欲しいという方がいる場合は、その方が相続すればいいということになります。
しかし、誰も山林を欲しくないという場合、相続人間で山林の押し付け合いが始まってしまう可能性があります。
なぜなら、山林は管理が大変である上に、固定資産税課税標準額の1.4%の税金がかかってくるなどのデメリットがあるからです。
また、山林は、宅地や建物などと比べて買い手が見つかりにくいため、売りたいと後で思ってもなかなか売れずに、税金を払い続けることになる可能性も考えられます。
そのため、使う予定のない山林だけが残っているという場合は、相続放棄を視野に入れるとよいでしょう。
3 相続に関わりたくない場合
例えばお父さんが亡くなり、相続人として長男と二男がいたとします。
お父さんの遺産が自宅の不動産のみだった場合、長男と二男は、自宅の分け方について話し合いをしなければなりません。
しかし、長男と二男は仲が悪く、互いにそういった話し合いをしたくないという場合には、相続放棄をしてしまうという選択肢があります。
仮に、長男だけが相続放棄をすれば、相続人は二男だけになるので、そのまま二男が自宅を相続することになります。
4 連帯保証人になっている場合
例えば、お父さん自身に借金がない場合であっても、お父さんが誰かの連帯保証人になっている場合には注意が必要です。
お金を借りた本人が借金の返済をしている間は、借金の督促は来ません。
しかし、借金の滞納が出ると、連帯保証人に督促が届くようになります。
この連帯保証人の責任は相続の対象なので、亡くなった方が連帯保証人になっている場合は相続放棄した方がよいといえます。
相続放棄の方法
1 相続放棄は家庭裁判所で行う必要がある
相続放棄をする際は、必ず家庭裁判所で手続きを行う必要があります。
中には、遺産を受け取るつもりがないということを他の相続人に伝えたり、遺産を受け取らないという念書を書いただけで、相続放棄が完了したと勘違いしている方もいらっしゃいます。
しかし、これらは法的な相続放棄とは認められません。
確かにプラスの財産は受け取らないことになるかもしれませんが、これらの方法の場合、マイナスの財産についてはそのまま相続することになります。
2 どこの家庭裁判所で手続きをするのか
相続放棄は、どこの裁判所でもできるわけではありません。
亡くなった方が最後に住んでいた場所を管轄している家庭裁判所で相続放棄の申述をする必要があります。
例えば、その場所が大阪だった場合は、大阪家庭裁判所にて相続の放棄を行います。
亡くなった方が最後に住んでいた場所は、亡くなった方の住民票除票や、戸籍の除附票で確認できます。
3 戸籍謄本を収集する
相続放棄では、戸籍謄本の提出が求められます。
「特定の方が亡くなったこと」を証明するためには、亡くなったことが記載された戸籍謄本が必要になるからです。
また、相続放棄する人が、本当に相続人であるということを証明する必要があるため、相続放棄をする人の戸籍謄本も必要になります。
子が相続放棄する場合は、戸籍の数は少なくて済みますが、親や兄弟が相続放棄をする場合は、少なくない数の戸籍謄本が必要になります。
4 裁判所に提出する書類を作成する
資料が集まったら、裁判所に提出する書類を作成します。
たとえば、いつ、だれが亡くなり、どんな遺産があるのかなどを書面に記載することになります。
特に、亡くなった日付と、亡くなったことを知った日付にずれがある場合、その理由の説明も重要です。
5 3か月という期限に注意が必要
相続放棄には、3か月という期限があります。
つまり、3か月以内に、相続をするのか、相続放棄をするのかを決める必要があるということです。
相続放棄に必要な資料収集から、相続放棄申述書の作成までを行うことを考えると、あまり時間に余裕があるとは言えません。
そのため、相続放棄を行う際は、期限に注意が必要です。
相続放棄手続きにかかる費用
1 必要書類の取得にかかる費用
相続放棄の手続きを行う場合、必要書類を取得し、それと相続放棄申述書という書類とを合わせて、3か月以内に家庭裁判所に提出する必要があります。
参考リンク:相続放棄の期限
相続放棄手続きを行う場合の必要書類については、亡くなった方(被相続人といいます)と相続放棄をする相続人との関係や、相続放棄を行うまでの事情によっても異なる場合がありますが、被相続人と相続人との関係が甥姪の場合、基本的に以下の書類が必要になります。
- ・被相続人の住民票除票又は戸籍の附票
- ・相続放棄をする人(申述人といいます。)の戸籍謄本
- ・被相続人の生まれてから亡くなられるまでの一連の戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- ・被相続人の子らで、すでに亡くなられている方がいる場合は、その子の生まれてから亡くなられるまでの一連の戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- ・被相続人の直系尊属が亡くなったことが記載されている戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- ・被代襲者(本来の相続人)が亡くなったことが記載されている戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- ・印紙(被相続人1人につき800円)
- ・郵便切手(裁判所ごとに変わりますので、事前に確認が必要です)
なお、詳細は、以下の裁判所のホームページをご参照ください。
参考リンク:裁判所・相続の放棄の申述
これらの必要書類の取得費に関しては、戸籍謄本をどれだけ集める必要があるかによって金額が大きく変わります。
基本的には、5000円~1万円程度かかる場合が多いです。
2 専門家への報酬
相続放棄の手続きを専門家に依頼した場合、専門家への報酬が別途かかります。
専門家への報酬は、事務所ごとによって大きく変わります。
たとえば、相続放棄を弁護士に依頼した場合、7万円程度のところもありますし、中には20万円程度かかるところもあります。
そのため、専門家に依頼する場合は、事前にいくらぐらいの費用がかかるのか、見積りを出してもらった方が良いでしょう。
ここで注意すべき点として、専門家の中には相続放棄にそれほど詳しくない方もいるということです。
相続放棄に関しては、絶対に期限を守る必要があるのは当然ですが、相続放棄をする上で、「してはいけない行動」があります。
例えば、被相続人の預貯金を引き出し、それを負債の返済や相続人の生活費に充てたり、被相続人が所有していた車を勝手にお金に換えたりすることなどです。
これをすると、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
また、被相続人の預貯金から葬儀費や墓石購入費を出したり、住んでいたアパートを解約したりするのも、相続放棄が認められなくなるリスクがあります。
このように、相続放棄に関しては、相続に関する幅広い知識が必要になるため、相続放棄を専門家に依頼する場合は、費用だけでなく、相続放棄に詳しいのかも考慮する必要があります。
相続放棄に詳しくない専門家に相談した結果、相続放棄が認められなくなってしまっては本末転倒ですので、相続放棄に強い詳しい専門家にご相談されることをおすすめします。
相続放棄と限定承認のどちらを選ぶのがよいのか
1 被相続人に借金があった場合
被相続人が債務超過に陥っている場合に、相続人の方は、限定承認を行うか、相続放棄を行うかで迷うことがよくあります。
今回の記事では、相続放棄を選ぶか、限定承認を選ぶか迷われている方に向けて、その際に考慮すべき点について解説していきます。
2 相続放棄を選ぶ際のメリット・デメリット
⑴ 相続放棄を選ぶべき人の特徴
①被相続人が債務超過に陥っている場合や、②被相続人が所有している土地建物に居住していない場合には、相続放棄を選択するのが良いです。
①については当然の前提ですので、以下では②について解説していきます。
被相続人が所有している土地・建物に居住していて、今後も住んでいきたいと考えている場合、相続放棄をしてしまうと、その土地建物に住み続ける事ができません。
なぜなら、相続人が相続放棄を行った場合、相続放棄を行った人は「初めから相続人とならなかったものとみなす」(民法939条)とされるため、土地建物に居住するための所有権等の権利を承継することができなくなるからです。
そのため、どうしてもその土地建物に居住し続けたいと考える場合には、後述する限定承認を行っていく必要があるでしょう。
⑵ 相続放棄のメリット・デメリット
では、被相続人の所有している土地建物に居住している場合に相続放棄をするメリット、デメリットはどのような点にあるのでしょうか。
まず、このような場合、限定承認と比較すると、以下のメリットが挙げられます。
① 専門家費用が比較的安いこと
② 比較的短期間で手続きが完了すること
(③ 被相続人の債務を支払う必要が無いこと)
相続放棄を専門家に依頼した場合、その費用の相場としては、事案にもよりますが、5~10万円程度となります。
また、手続きも1~2か月程度で終了するため、後述する限定承認と比較すると、費用も期間も抑える事ができるため、この点にメリットがあるといえるでしょう。
さらに、限定承認も承継したプラスの財産の範囲内で債務を支払えばよいので、完全にメリットとまでは言えませんが、やはり債務を一切弁済しなくてよいとされる点はメリットがあるといえそうです。
他方、相続放棄を行った場合のデメリットとしては、以下が挙げられます。
① 現在住んでいる家を退去しなくてはならない可能性がある
② 新居に引っ越すための諸費用等がかかる
これは前述したとおり、相続放棄をした場合には、その土地建物に居住する権利を失うため、相続財産精算人や債権者から、現在居住している建物からの退去を要請されるリスクがあります。
また、その際に引っ越し費用等が発生するため、多い場合で50~100万円程度の出費になる可能性があります。
3 限定承認のメリット・デメリット
⑴ 限定承認とそのメリット
被相続人の所有している土地、建物に引き続き居住するための方法として、限定承認を行うという方法も十分考えられるところです。
限定承認を行った場合、債務については、相続したプラス財産の範囲内で支払えばよいため、手出しの出費を行う必要がありません。
また、限定承認を行った人は、「先買権」という権利を行使することができ、この権利の効果によって、居住している不動産が第三者に売却される前に居住している不動産の権利を時価で購入することができます。
このように、限定承認には、メリットが多いように感じますが、デメリットもあります。
⑵ デメリット
限定承認を行った場合のデメリットとして、という点が挙げられます。
① 専門家費用(弁護士費用、不動産鑑定費用)が高額になる
② 手続きの期間が長い
③ 不動産を購入する費用がかかる
まず、限定承認を行う場合、手続きの期間は約半年~年程度かかります。
これは、限定承認を家庭裁判所に対して認めてもらった後に、相続人は最低2か月の間、債権の申し出を受けつける期間を設けなければならないとされているからです。
そのため、専門家が行うべき作業が多くなるため、費用が高額になる傾向にあります。
また、不動産の先買権を行使する場合には、不動産の適正な価格を調査するための不動産鑑定士の選任も必要になるため、その費用も発生します。
さらに、先買権を行使すると、不動産を購入することになるため不動産取得税が発生する点についても注意が必要です。