子どもがいない夫婦の場合でも遺言は必要ですか?
私たち夫婦には子どもがいないのですが、遺言は必要ですか?
子どもがいないご夫婦こそ、遺言が必要です。
多くの方が、「遺産の相続で揉めるケースとは、子が数人いて、遺産の分け方で揉めてしまう場合だ。だから子どもがいない夫婦には、遺言は必要ない」と考えているかもしれません。
しかし、それは大きな間違いです。
このような間違った認識を持ってしまう理由として、『子どもがいない場合の夫婦は、誰が相続人になるのか』をちゃんと理解していないことが挙げられます。
子どもがいない夫婦の場合、夫が亡くなれば、妻が全財産を相続するのですか?
必ずしも、妻が全財産を相続するとは限りません。
相続権には、優先順位が定められています。
子がいない夫婦で、夫が亡くなった場合、相続権を持っているのは、夫の親や祖父母です。
そのため、妻は、夫の親や祖父母と、遺産の分け方を協議しなければなりません。
では、夫の親や祖父母がすでに亡くなっている場合はどうでしょうか。
この場合、夫の兄弟姉妹が相続権を持ちますので、妻は、夫の兄弟姉妹と遺産の分け方を話し合わないといけません。
なお、夫の兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、夫の甥・姪が相続権を持つため、妻は、夫の甥・姪と遺産の分け方を話し合う必要があります。
しかし、夫側の親族と、遺産の分け方を話し合うというのは、心理的ハードルが高く、協議が難航することもあります。
遺産分割協議とは、具体的に何をするのですか?
相続人全員と話し合いをして、遺産分割協議書に署名・押印をもらうことになります。
遺産分割協議は、預貯金の解約や、不動産の名義変更といったゴールがあるため、それに向けた活動を行います。
具体的には、遺産の一覧表を作成し、相続人全員の希望を聞いて、折り合いがつくまで話し合い、遺産分割協議書に署名と押印をした上で、印鑑登録証明書を添付することになります。
こういったことを、夫側の親族と行うことは、非常に手間と時間がかかります。
しかし、遺言書さえあれば、このような手間がかかりません。
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