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遺言の訂正や書き直しに関するQ&A

  • 文責:所長 弁護士 大澤耕平
  • 最終更新日:2025年6月4日

遺言の訂正はどうすればいいですか?

遺言の訂正方法については、主に手書きの遺言書(自筆証書遺言)と公証役場で作成する遺言書(公正証書遺言)とで大きく異なります。

自筆証書遺言はどのように訂正するのですか?

自筆証書遺言の場合、訂正したい部分を二重線で引き、横書きの場合は、修正箇所の上部に正しい文言を書きます。

また、文言を追加したい場合は、吹き出しを書き、吹き出し内に修正文言を書きます。

その後、訂正印を二重線や吹き出しの近くに押し、かつ、遺言の末尾か訂正箇所の近くに訂正した内容を書き、署名します。

なお、詳細については、以下の法務省のホームページもあわせてご確認ください。

参考リンク:法務省・遺言書の様式等についての注意事項

公正証書遺言はどのように訂正するのですか?

公正証書遺言の場合、訂正する内容が公正証書遺言の内容の変更ではなく、補充や一部修正であれば、「更正」や「補充」という方法により訂正することができます。

また、誤字脱字があった場合の訂正については、誤記証明書を作成してもらうことができます。

もっとも、遺言の内容を変更する場合は、更正や補充ではないため、一から遺言書を書き直す必要があります。

訂正方法を間違えていた場合、その遺言はどうなりますか?

遺言の訂正の方法が法律に従った内容ではなかった場合、訂正はなかったことになります。

そのため、せっかく訂正したはずなのに、遺言書の効力としては訂正前のものが有効になりますので、ご注意ください。

公正証書遺言に軽微な誤字脱字があった場合、どうすればいいですか?

公正証書遺言でも、誤字脱字が稀にあります。

そういった場合、公証役場に誤記証明書を発行してもらえば、問題ありません。

誤記証明書については、特に費用も追加でかからず作成してもらえ、また、必要書類や遺言を作成した際のような、証人2名の立ち合いなども必要ありません。

もっとも、公証人次第では、誤記証明書を郵送してくれない場合があり、その場合は、公証役場に取りに行く必要があります。

遺言の書き直しはどうすればいいですか?

遺言の書き直しの場合は、自筆証書遺言でも公正証書遺言でも基本的に同じであり、一から新しく書き直すことになります。

また、訂正の内容が多岐にわたる場合も、一から新しく書き直した方が良いでしょう。

新しく書き直す場合、遺言書の文言に「今まで作成した遺言は全て撤回する」という文言を入れる場合もありますが、以前作成した内容と新しく作成する内容について、内容が矛盾する部分は新しい遺言の内容が優先するため、撤回する旨の文言は必須ではありません。

たとえば、「長男に自宅を含めた全ての不動産を相続させる」「長女に預貯金全てを相続させる」という内容の従前の遺言書がある場合、新たに、「全ての財産を長男に相続させる」とした内容の遺言書を作成したとします。

この場合、従前の「長女に預貯金全てを相続させる」と新たに作成した「全ての財産を長男に相続させる」旨の遺言書とは、内容が矛盾するため、新しい内容の遺言が優先することになります。

遺言の書き直しの方法を間違えていた場合、遺言はどうなりますか?

遺言の書き直しの方法としては、新たに遺言を作成するというものです。

そのため、そもそも新たに作成された遺言が法律上の記載要件を満たしていない場合、新たに作成した遺言自体が無効になるため、基本的に書き直しもなかったことになります。

公正証書遺言の内容を書き直す際、公正証書遺言に大きく×を書いたのですが、これで元の遺言書の効力は無くなったと考えてよいのでしょうか?

公正証書遺言に大きく×を記載したとしても、これで従前の公正証書遺言の効力が無くなったことにはならず、従前の公正証書遺言の効力が有効になると考えられています。

なお、自筆証書遺言の場合だと、遺言書に赤ペンで斜線を引いた場合、遺言を撤回したものと考えられており、この場合は、斜線を引かれた遺言の効力は無くなります

詳細は、以下の裁判所のホームページをご確認ください。

参考リンク:裁判所・最高裁判所判例集(平成27年11月20日判例)

書き直した後の遺言の効力はどうなりますか?

書き直した後の遺言の効力について、基本的に、従前の遺言は無効になり、新しい遺言が有効になります。

もっとも、従前の遺言について、書き直した後の内容と矛盾する部分が無効になり、矛盾しない部分については、有効となります。

たとえば、遺言に、「長男に自宅不動産を長男に相続させる」「長女に預貯金を相続させる」と従前記載していたところ、後日、「自宅不動産を長女に相続させる」旨の遺言を新たに作成したという事例で考えてみます。

この場合、新たに作成した遺言と従前の遺言とで矛盾する部分は、「自宅不動産を長男に相続させる」か「長女に相続させるか」という部分になります。

そのため、新たに遺言が作成された結果、従前の遺言について「自宅不動産を長男に相続させる」部分が無効となり、新たに作成した「自宅不動産を長女に相続させる」との内容が有効になります。

他方、新たに作成した遺言と矛盾していない、従前の遺言の「長女に預貯金を相続させる」という文言は有効のままとなります。

遺言の訂正、書き直しはいつでもできますか?

基本的にいつでも行うことができます。

もっとも、遺言の訂正、書き直しを行う際、認知症が進んでしまっていた場合などは、遺言の訂正や書き直しができなくなる可能性があります。

遺言の訂正や書き直す場合の注意点はありますか?

遺言の訂正や書き直す場合について、法律上の手続きを踏んで行う必要があり、手続を間違えてしまうと、訂正や書き直しが認められなくなる可能性があります。

また、何枚も遺言がある場合は、遺言を書き直したとしても、従前の遺言の効力が残っている可能性があるため、そのような場合は、新たに作成した遺言に「従前の遺言は全て撤回する」旨の記載を入れた方が良いでしょう。

遺言の訂正や書き直す場合に費用はかかりますか?

自筆証書遺言の場合、遺言の訂正や書き直しについては、基本的に費用はかかりません。

もっとも、すでに自筆証書遺言の保管制度を利用されている場合は、基本的に、軽微な訂正であっても、再度、遺言を作成し、保管申請をし直す必要があり、その際に数千円の費用がかかります。

なお、自筆証書遺言の保管制度の詳細は、以下の法務省のホームページをご確認ください。

参考リンク:法務省・自筆証書遺言書保管制度

公正証書遺言の場合、軽微な誤字脱字を修正する場合以外は、遺言の訂正や書き直すのに費用がかかります。

公正証書遺言の補充や更正であれば、基本的に作成時に公証役場に支払った費用の半額を追加で支払う必要があり、書き直す場合は、新たに作成した費用と同じ金額がかかります。

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