相続財産清算人が必要なケース
1 亡くなった方に債権を持っていた場合
たとえば、AさんがBさんに対し、100万円を貸していましたが、その返済がないまま、Bさんが亡くなったとします。
もし、Bさんに相続人がいれば、AさんはBさんの相続人に対し、100万円の返済を求めることになりますが、Bさんに相続人がいない場合はどうなるでしょうか。
特に、Bさんが500万円の預金を残しているような場合であれば、Aさんとしては、何とかその預金から返済を受けたいと考えるでしょう。
このような場合、相続財産清算人の選任をすることで、借金の返済を受けられるようになります。
もっとも、他にも債権者がいる場合、全額返済を受けることができるとは限りません。
2 借地の上に建物がある場合
たとえば、Cさんが土地を所有していて、その土地をDさんに貸していたとします。
Dさんは、その土地の上に建物を建て、その建物に住んでいたのですが、そのままDさんが亡くなってしまいました。
このような場合、どうなるでしょうか。
もし、Dさんに相続人がいなかったり、Dさんの相続人が全員相続放棄をしてしまったりすると、建物だけが残ってしまいます。
Cさんとしては、建物を解体した上で、土地を活用したいと考えるかもしれません。
しかし、Cさんが勝手に建物を解体することはできません。
このようなケースだと、相続財産清算人に、建物の処分をお願いすることになります。
3 亡くなった方と特別な関係にあった方の場合
たとえば、EさんとFさんは、婚姻届けは出していないものの、長年同居し、夫婦と変わらない生活を送っていたとします。
Eさんが亡くなり、Eさんに相続人がいない場合や、相続人全員が相続放棄をしたような場合、Fさんは、遺産の一部を取得できる場合があります。
このように、相続人ではないものの、亡くなった方と特別な関係にあった方を特別縁故者といいます。
特別縁故者として遺産の一部を受け取る場合、相続財産清算人を選任した上で、特別縁故者の申出をする必要があります。