自筆証書遺言を作成するときの注意点はなんですか?
1 自筆証書遺言のルールを間違えると、無効になる可能性があります
自筆証書遺言は、文字どおり、遺言書を作成する人が自分の手で書く遺言書のことです。
自筆証書遺言の作成方法は、法律で厳しく定められており、一つでも間違うと遺言書が無効になってしまう可能性があります。
例えば、自筆証書遺言のルールの一つに、「作成日を記入する」というものがあります。
時間をかけて、誰に、どんな財産を渡すかをしっかりと記載したとしても、うっかり作成日を記入し忘れてしまうだけで、その遺言書は無効になってしまいます。
2 自筆証書遺言を作成するときは、録画をしておかないと危険です
自筆証書遺言は、いつでも気軽に作成できるというメリットがある反面、簡単に偽造できてしまうというデメリットもあります。
そのため、相続発生後に、一部の相続人から、「この遺言書は別人が偽造したから無効だ」という裁判を起こされる可能性があります。
しっかりとした証拠がなければ、遺言書を故人本人が作成したということを立証するのは難しく、結果的に遺言書が無効であるという判決が出てしまうこともあります。
そうならないように、遺言書を作成するときは、その作成過程を録画しておく必要があります。
なお、遺言書を作成する場所については、制限がありません。
そのため、例えば大阪にお住まいの方が、旅行で海外に行ったときに、遺言書を作成し、その様子を録画したとしても、その遺言書の効力に影響はありません。
3 自筆証書遺言の保管方法には注意が必要です
自筆証書遺言は、原則として遺言書を作成した方が保管をすることになります。
例えば、家のタンス等に保管をしておく方がいらっしゃいますが、それだと、同居している家族や、家に出入りする親族が遺言書を見つけ、内容を見られてしまうリスクがあります。
遺言の内容によっては、遺言書を書き替えられたり、隠されたりすることもありえます。
銀行の貸金庫等に預けておくと、そういった心配はなくなりますが、その場合は、貸金庫に遺言書を預けていることを相続人に知らせておかないと、誰も遺言書の存在に気付かないという事態を招く可能性があります。
自筆証書遺言を作成した場合は、ご家族と協力し、遺言書を保管することが必要です。
4 自筆証書遺言書保管制度も利用できます
2020年から、自筆証書遺言書保管制度がスタートしました。
参考リンク:法務省・自筆証書遺言書保管制度について
この制度を使えば、民法が定める形式的なルールに合致するかチェックが受けられます。
また、遺言を書いた本人が、その遺言を法務局に預けることになりますので、遺言の改ざん等を防ぐことができます。
遺言書が保管されていることを相続人に通知する制度もありますので、遺言書が紛失したり、存在に気付かれなかったりするリスクも減らすことができます。
このように、自筆証書遺言書保管制度を使えば、上記でお話ししていた問題をクリアできるメリットがありますので、自筆証書遺言を作成する際には、こちらの制度を利用することも検討されるとよいでしょう。
なお、こちらの制度では、遺言が形式的に問題ないかを確認してもらうことはできますが、遺言の内容自体については相談できません。
遺言の内容自体が問題ないかどうかや、しっかりと検討して遺言内容を決めたい場合等には、専門家に相談することをおすすめします。
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