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相続放棄をしたいのに被相続人の最後の住所地が分からない場合

  • 文責:所長 弁護士 大澤耕平
  • 最終更新日:2024年12月4日

1 被相続人の最後の住所地は必ず確認する

相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述する必要があり、万が一、管轄する家庭裁判所が異なると、申述を受理してもらうことができず、その結果、3か月の期限を過ぎてしまうと、相続放棄ができなくなってしまう可能性があります。

たとえば、本来は大阪家庭裁判所が管轄になるところを別の裁判所に相続放棄の申述をしてしまい、本来の管轄となる大阪家庭裁判所に再度相続放棄の申述を行うのに3か月の期限が経過してしまった場合、相続放棄はできなくなる可能性があります。

なかには、当初申述した家庭裁判所が、本来の管轄の裁判所に移送してくれる場合もありますが、絶対ではありませんので注意が必要です。

そのため、相続放棄を行う場合は、必ず被相続人の最後の住所地を確認し、そこを管轄する家庭裁判所に相続放棄の申述を行う必要があります。

2 戸籍の附票や住民票を取得

被相続人の最後の住所地について、まずは被相続人の戸籍の附票や住民票を取得することから始めます。

戸籍の附票については、本籍地のある市区町村役場で取得することができます。

なお、広域交付制度は利用できないため、本籍地のある市区町村役場で取得する必要があります。

大阪市における広域交付制度の詳細については、以下のホームページをご確認ください。

参考リンク:大阪市・大阪市外の他市区町村の戸籍証明書の交付請求(戸籍証明書等の広域交付)

万が一、被相続人が死亡した日が10年より前など、戸籍の附票や住民票が廃棄され残っていない場合や、そもそも戸籍の附票や住民票に住所地が記載されていない場合は、次の方法で確認する必要があります。

3 死亡届の取得

戸籍の附票や住民票が取得できない場合や、そもそも戸籍の附票や住民票にも被相続人の最後の住所地の記載がない場合、次に被相続人の死亡届に被相続人の最後の住所が記載されている可能性があるため、死亡届を確認してみる必要があります。

死亡届の請求については、だれでも請求できるわけではなく、「利害関係人」で、かつ「特別な事由」があると認められる方に限って認められています。

「特別の利害関係」については、相続人であれば基本的に認められます。

もっとも、「特別な事由」については、遺族年金の請求や離婚など身分行為の無効確認の裁判で、裁判所に提出する必要がある場合など限られた場合にのみ認められており、「相続放棄を行うために必要」というだけでは、死亡届の請求が認められない場合があります。

そのため、死亡届の請求を行う場合は、事前に、法務局や市役所に確認し、死亡届を取得するためにどのような書類が必要かを確認しておいた方が良いでしょう。

また、死亡届の請求については、令和6年3月1日以降に死亡届が提出された場合は、提出された市区町村もしくは本籍地の市区町村が窓口となり、令和6年2月29日までに死亡届が提出された場合は、本籍地の市区町村を管轄する法務局が請求の窓口となります。

さらに、法務局での死亡届の保管期間については、法務局ごとに異なる場合があるため、被相続人が30年以上前に亡くなっている場合は、そもそも死亡届の写しを請求することができない場合もございますので、注意が必要です。

なお、大阪法務局における死亡届の請求に関する運用の詳細については、以下のホームページをご確認ください。

参考リンク:大阪市・戸籍届書の記載事項証明書の交付請求について

4 不動産の登記事項証明書記載の住所を確認

被相続人が30年以上前に亡くなっている場合など、死亡届さえも取得できない場合、被相続人が土地や建物を所有していれば、その登記事項証明書を確認し、そこに記載された住所地を被相続人の最後の住所地として、相続放棄の申述を行うことが考えられます。

たとえば、被相続人が大阪市に自宅の土地、建物を有している場合、当該自宅土地、建物の登記事項証明書等を法務局等で取得し、被相続人の住所地の記載を確認します。

そこで、具体的な住所地が分かれば、裁判所に対し、登記事項証明書とともに、上申書(住民票や戸籍の附票、死亡届を取得することができなかったため、最後の住所地を登記事項証明書記載の住所として、相続放棄の申述を行う旨の記載があるもの)を提出することになります。

もっとも、裁判所次第では、登記事項証明書だけでなく、追加で必要書類を求められる場合がありますので、その場合は、追加資料を速やかに準備する必要があります。

5 その他の資料の確認

被相続人が土地や建物を所有もしておらず、登記事項証明書によって被相続人の住所地さえも確認できない場合、他の書類で住所地を確認できる場合は、その書類と上申書を相続放棄の申述の際に合わせて提出することになります。

被相続人の住所地を確認できる他の書類としては、市区町村役場から送られてくる固定資産税課税明細書の所有者の住所欄や、借用書の被相続人の記載の住所等があげられます。

また、この場合も、裁判所次第では、追加で必要書類を求められる場合がありますので、その場合は、追加資料を速やかに準備する必要があります。

6 どうしても被相続人の最後の住所地が不明な場合

最後に、これまでの書類を取得できなかった場合など、どうしても被相続人の最後の住所地が不明の場合、東京家庭裁判所に相続放棄の申述を行うことができます。

この場合、被相続人の戸籍の附票や住民票、死亡届も取得できず、登記事項証明書や他の書類を確認しても、被相続人の最後の住所地が確認できなかったため、やむを得ず、東京家庭裁判所に相続放棄の申述を行った旨の上申書を作り、裁判所に提出します。

また、この場合も、追加で必要書類を求められる場合がありますので、その場合は、追加資料を速やかに準備する必要があります。

7 すぐに専門家にご相談を

このように、場合によっては被相続人の最後の住所地を確認することが非常に難しく、3か月の期限内に住所地を調べることができない場合もあります。

そうなってしまうと、相続放棄ができない可能性がありますので、相続放棄をご検討の方で、被相続人の最後の住所地が分からない方は、なるべく早めに専門家にご相談されることを強くおすすめします。

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