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相続放棄が認められない事例とその対策

  • 文責:所長 弁護士 大澤耕平
  • 最終更新日:2024年5月22日

1 相続放棄の期限が過ぎてしまった場合

相続放棄には、期限が定められています。

具体的には、相続の開始を知った時から、3か月です。

たとえば、父親が亡くなり、長男が、その当日に病院で立ち会っていた場合は、その日を基準に3か月ということになります。

他方で、疎遠だった二男が、父親が亡くなったことを、お葬式の半年後に知れば、その死を知った時を基準に3か月ということになります。

この期限を守ることができなかった場合、原則として、相続放棄はできなくなります。

その対策としては、まず相続が起きたことを知れば、すぐに専門家に相談することが重要だと言えるでしょう。

2 遺産を処分してしまった場合

相続放棄は、遺産に関する権利を放棄する手続きです。

それにもかかわらず、遺産を処分してしまうと、「相続する意思がある」とみなされ、原則として、相続放棄ができなくなります。

たとえば、母親が亡くなり、長女が、母親の預金を100万円払い戻し、自動車を買ってしまった場合、長女は、母親の遺産を相続したという扱いになるでしょう。

このような事態を避けるためには、相続放棄をするつもりであれば、遺産を処分しないようにしないといけません。

ここでいう処分には、遺産を捨てる、あげる、壊すといった行為も含まれるため、注意しましょう。

3 正式な相続放棄をしていない

相続放棄は、家庭裁判所で行う手続きです。

このような方式を守っていない場合、相続放棄は無効です。

たとえば、父親が亡くなり、相続人として、長男、二男、三男がいたとします。

長男は父親の家業を受け継ぐことになり、二男と三男もそれに異存がなかったため、二男と三男が「自分たちは遺産はいらない。全部長男が相続していい」と発言し、長男がこれを受け入れた場合、どうなるでしょうか。

確かに、二男と三男は、遺産を相続していませんが、法律上の相続放棄の手続きを守っていないので、相続放棄したことになりません。

また、遺産の相続には、マイナスの遺産というものもあります。

つまり、父親が借金をしていた場合、この借金は、プラスの財産を相続していない二男と三男も相続することになります。

このような事態を避けるためには、家庭裁判所で、正式な手続きをする必要があります。

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