遺言作成の流れ
1 まずは遺言作成の目的を設定する
インターネット上の記事や専門書で、遺言作成について解説しているものは数多くあります。
しかしその多くが、財産の資料や戸籍などを集めるといった「資料集めの方法」や、誰にどのような遺産を相続させるかなどの「遺言内容」について解説しています。
確かに、これらの点は、いずれ検討する必要がありますが、それより先に決めておかなければならないことがあります。
それは、遺言を作成する目的です。
遺言作成の目的としては、例えば「家族が遺産を巡って争うのを回避したい」「事業を受け継ぐ相続人に事業財産を相続させたい」「介護を頑張ってくれた相続人に多めに遺産を渡したい」「特定の相続人には、遺産を渡したくない」などが考えられます。
これらの目的次第で、必要になる資料や、遺言内容が変わってくる場合があります。
そのため、まずは遺言を作成する目的をしっかり決めておくことが大切です。
2 遺言の内容を決める
遺言の主な内容は、「誰にどんな財産を相続させるのか」ということです。
例えば、同居している長女に実家の不動産を相続させたり、投資が好きな長男に上場株式を相続させたりするなど、内容は自由に決めることができます。
この際に意識しなければならないのは、税金です。
誰がどの財産を相続するかによって、税金が大きく変わることがあるためです。
また、遺言に従って相続手続きを行う「遺言執行者」を決めておくことも大切です。
この遺言執行者を指定しておかないと、裁判所で遺言執行者の選任手続きが必要になり、相続人にとって余計な手間や費用が増えてしまいます。
3 どの方法で遺言作成をするかを決める
遺言を作成する方法としては、大きく2つの方法があります。
1つ目は、自筆証書遺言です。
自筆証書遺言は、文字通り遺言書を作成する方が、手書きで作成する遺言です。
参考リンク:自筆証書遺言のメリット・デメリット
2つ目は、公正証書遺言です。
公正証書遺言は、公証役場で遺言書を作成し、遺言書を公文書として残す方法です。
参考リンク:日本公証人連合会・公正証書遺言とは、どのようなものですか?
どちらの方法でも、遺言の効力は同じですが、最後に作った方が優先されるという性質があります。
例えば、公正証書遺言を作成した半年後に、内容が異なる自筆証書遺言を作成した場合、自筆証書遺言の方が優先されることになります。
また、自筆証書遺言と公正証書遺言では、必要となる手間や費用、作成した遺言の信頼性などについても差異があります。
どちらの遺言方法が適しているのかは、個々のケースによりますので、遺言の作成をお考えの方はお気軽にご相談ください。